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インプラント治療は、失った歯を補う方法として多くの方に適応できる治療法です。 けれども、インプラント治療を希望されるすべての方に無条件で行えるわけではなく、お口の中や全身の健康状態によって慎重な判断が必要となるケースもあります。
ここでは、インプラント治療を行う上での「条件」とどのような検査を行うかについてお話しします。
野呂 端良 院長
Contents
インプラント治療を行うためには、次の項目をチェックします。
インプラント治療では、顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、上部に人工歯を取り付けて歯の機能を補います。 埋め込んだインプラント体は、時間が経つと骨と結合します。 人工歯を安定させるためには、土台となる骨が十分に存在し、しっかりとした強度があることが必要です。 骨の量が不足していると、インプラント体が不安定となる恐れがあります。 そのため、インプラント治療を検討する際は、事前に骨の状態を確認する必要があります。
特に、歯を失ってから長期間が経過している場合は注意が必要です。 歯を失うことで、噛む刺激が骨に伝わらなくなると、骨が痩せていき、インプラントを支えるための土台が不十分になることがあるからです。 このような場合には、骨を増やすための「骨造成」といった前処置が必要になることがあります。
歯周病の進行状態についても、チェックが必要です。 インプラント体に取り付けられた人工歯は、むし歯になることはありません。 けれども、インプラント体の周囲に汚れが溜まると、組織に炎症が起こり「インプラント周囲炎」になるリスクが高まります。 インプラント周囲炎は、歯垢(プラーク)などによる炎症が関係するとされます。 歯垢(プラーク)は、歯周病の原因でもあるため、歯周病が進行している状態では、インプラント周囲炎を発症するリスクも高くなってしまうのです。
特に、重度の歯周病がある場合は、インプラント治療後に、インプラント周囲のトラブルが発生したり、インプラントが脱落したりするリスクが高い状態といえます。 まずは歯周病の治療を優先し、お口の中の環境を改善した上で、インプラント治療を検討することが基本となります。
歯周病にかかったことがある方や治療中の方が、必ずしもインプラント治療を行うことができないというわけではなく、歯周病の治療後も健康な状態を維持していれば、インプラント治療を受けることは可能です。
喫煙は、インプラント治療後の経過に影響を及ぼす要因の一つです。 タバコの煙にはさまざまな有害物質が含まれていて、ニコチンは血管を収縮させ、歯ぐきや骨への血流を悪化させるため、術後の歯ぐきの回復やインプラントと骨との結合を妨げる恐れがあります。 一酸化炭素は血液中の酸素運搬を妨げることになるため、歯ぐきや顎の骨に十分な酸素や栄養が届きにくくなります。 その結果、インプラント手術後の傷の治癒が遅れたり、細菌感染のリスクが高まったりする可能性があるのです。
さらに、タールはお口の中に付着しやすく、歯垢(プラーク)や歯石が溜まりやすい環境をつくります。 これにより歯ぐきに炎症が起こりやすくなり、歯周病やインプラント周囲炎のリスクを高める原因となるのです。
インプラント手術後の経過をよりよくするため、術前後は一定期間の禁煙が推奨されます。具体的な期間はお一人お一人の状態により異なるため、歯科医師と相談しましょう。
インプラントは人工物であるためむし歯にはなりませんが、周囲の歯周組織に炎症が起こる「インプラント周囲炎」のリスクがあります。 これを予防するためには、毎日の丁寧なケアが基本ですが、歯科医院での定期的なクリーニングやかみ合わせのチェックも必要です。 通院を中断してしまうとトラブルの発見が遅れ、結果としてインプラントの寿命を縮める可能性があります。
インプラントを長く快適に使用するためにも、継続した通院を含めたメンテナンスができる環境が大切です。
インプラント治療は、外科手術を伴います。 そのため、お口だけでなく全身の健康状態をチェックする必要があります。 特に、糖尿病などの持病がある場合は、手術後に傷の治りが遅くなる可能性があるため、医科と連携した上で慎重に判断することが必要です。 糖尿病を患っている場合でも、しっかりとコントロールされている場合には、治療が可能となるケースも少なくありません。
ほかにも、重度の心臓病、肝臓病なども、お身体の状態について的確に把握する必要があります。
また、妊娠中の方や成長期のお子さまは体調や顎の成長への配慮が必要なため、インプラント治療に対しては慎重な判断が求められます。 妊娠中は体調の変化や投薬に制限がある可能性が高く、顎の骨がまだ発育途中である段階でインプラントを埋め込むと、骨の成長とともにズレが生じるリスクがあるからです。
どのようなケースであっても、「できない」と決めつけるのではなく、まずは歯科医院に相談し、現在の状態を的確に把握し、ご自身に合う選択肢を検討することが大切です。
インプラント治療では、治療の安全性と確実性を高めるために、事前の検査が非常に重要です。 検査の内容はお一人お一人のお口の状態によって異なりますが、基本的には、次のような検査を行います。
レントゲンや歯科用CTは、目視できない骨の状態を確認するために行う検査です。 特に、歯科用CT撮影では、顎の骨の量や厚み、密度、さらに神経や血管の位置までも立体的に把握することが可能です。
通常のレントゲンでは確認しきれない奥行きや細かな構造まで把握できるため、インプラント治療計画をより精密なものにすることができます。 下顎の神経の位置や骨の内側にある空洞との距離などを事前に把握することで、インプラントを埋入する角度や位置のシミュレーションに活用することが可能です。
かみ合わせのバランスは、インプラント治療の成功に大きく関わる重要な要素です。 かみ合わせが不安定な状態のままインプラントを行うと、一部の歯やインプラントに過度な負担がかかる可能性があり、インプラントの破損につながる恐れがあります。 そのため、治療を行う前にはかみ合わせの状態を丁寧に確認し、必要に応じて調整を行う必要があるのです。
また、歯ぎしりや食いしばりのクセがある場合には、かみ合わせがズレている可能性があります。 歯ぎしりや食いしばりがある方には、ナイトガード(マウスピース)の使用を検討することもあります。 インプラントを長く安定してお使いいただくためには、こうした事前の検査と適切な対策が必要なのです。
インプラント治療を順調に進めるためには、対象となる部分だけでなく、お口全体の健康状態を把握することが欠かせません。 細菌感染症であるむし歯や歯周病が残っている状態では、細菌感染のリスクが高まり、インプラントの成功率に悪影響を及ぼす可能性があります。 そのため、事前にこれらの治療を行い、清潔な状態に整えた上で、インプラント治療を行うことが大切です。
お口全体をみることで、残っている歯の状態や歯ぐきの炎症の有無、骨の状態なども確認し、全体のバランスを考慮した治療計画を立てることができます。
インプラント治療では、問診も非常に大切です。 問診では、これまでかかった病気や現在治療中の病気の状況、どのようなお薬を服用しているかについておうかがいします。 たとえば、糖尿病や高血圧、骨粗しょう症などの全身疾患がある場合には、治療方法やタイミングに配慮が必要となることがあります。 また、服用している薬によっては、外科処置に影響を及ぼすものもあるため、患者さまとの情報共有が欠かせません。 さらに、喫煙習慣や食生活、日々のセルフケアの状況などの生活習慣もヒアリングし、10年先20年先を見据えた適切な治療計画を立てていきます。
インプラント治療は、天然の歯に近い見た目や噛み心地を取り戻すための治療法です。 入れ歯が合わなくて悩んでいる方や、より自然な形で歯を補いたいという方におすすめです。 けれども、顎の骨の状態や歯周病の有無、全身の健康状態、生活習慣などによっては、事前の検査や治療が必要となる場合もあります。
治療経過を順調に進めるためには、事前の問診や検査が重要です。 見た目だけではなく、骨や歯ぐきの状態、全身の健康状態まで含めて治療計画を立てることで、インプラント治療の安全性を高めることができます。
また、インプラントにはメリットだけでなく、外科処置を伴うことによるリスクも存在します。 治療計画やリスクについても十分に説明を受け、納得した上で治療を選択することが重要です。
さらに、インプラント治療を受ける歯科医院選びも大切です。 設備や経験はもちろんですが、丁寧な説明や治療後のメンテナンスの体制についても確認しましょう。
当院では、現在の状態を的確に把握し、お一人お一人に合った治療計画を立案しますので、インプラント治療をご検討中の方は、まずはお気軽にご相談ください。
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